マンガ『狂眼』の単行本を全巻まとめて読むには、どうすれば一番安くなるかについて紹介します 。
”レジコミ Red”(レジンコミックス) にて連載中の、韓国時代劇TL漫画『狂眼』。電子広告をきっかけにいま非常に注目を集めている人気作品です。
そこでこの記事では、『狂眼』を全巻まとめて読むにはどのサービスを利用すれば一番お得なのかについて調べました。
ちなみにマンガ『狂眼(タテヨミ・分冊版)』はコミックシーモアで、いまなら以下の価格で配信されています。
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漫画「狂眼」全巻を一番安くまとめ買いできる電子書籍サイトを厳選比較
マンガ『狂眼』を一番安くまとめ買いできるのはどのサイトなのか、【登録無料・利用者が多い・知名度が高い・運営会社がしっかりしている】といった、安心して使える電子書籍サイトを数社ピックアップし、各社のオススメポイントと共に比較してみました。
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めちゃコミック | 無料作品なら登録不要 お得な月額コース有り 今すぐ読む | 月額コースは330円(税込)~ ボーナスポイント制度 | 95,000作品以上 | コミック | 買い切り | |
Amebaマンガ | マンガどれでも 100冊まで50%即時還元クーポン 今すぐ読む | 無料 | 120万冊以上 | コミック | 買い切り | |
まんが王国 | 毎日最大50%ポイント還元 今すぐ読む | 無料 | 11万作品以上 | コミック | 買い切り | |
BookLive! | 1冊70%OFFクーポン配付 今すぐ読む | 無料 | 100万冊以上 | コミック・ライトノベル・小説・ビジネス・雑誌ほか | 買い切り | |
ebookjapan | 配信無し | ”6回まで70%OFF”クーポン (1回最大500円 x 6回) | 無料 | 100万冊以上 | コミック・ライトノベル | 買い切り |
DMMブックス | 配信無し | 90%割引クーポン配付 (上限2,000円) | 無料 | 98万冊以上 | コミック・文芸・ライトノベル・ビジネス・写真集ほか | 買い切り |
U-NEXT | 配信無し | 110誌以上の雑誌が読み放題 動画も観れる (初回600円分無料サービス付き) | 月額2,189円 (1200円分ポイントバック) | 68万冊以上 | コミック・ライトノベル・小説・ビジネス・雑誌ほか | 買い切り |
比較してみた結果、マンガ『狂眼』を全巻まとめ買いするなら「ポイント還元を使えばマンガが実質無料で購入できる」コミックシーモアが一番お得であることが分かりました♪
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出典:コミックシーモア
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めちゃコミックなら「狂眼」が先行配信中
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- レビュー数が業界最大数!購入時に口コミを参考にしやすい
めちゃコミックは主に”マンガ”を中心とした電子書籍・マンガ配信サービス。最近では特にCM・広告等でも目にする機会が増え、知名度と人気を獲得している”安心して使えるサイト”であるとも言えます。
取り扱い作品は「ジャンプ」「サンデー」「マガジン」「なかよし」「花とゆめ」等々の王道人気マンガはもちろんのこと、めちゃコミック独自のオリジナル漫画も多数配信していて、実はそれらが非常に人気を呼んでいます。
無料で読める作品も多数あり、それらは登録等しなくても、ブラウザでそのまま簡単に閲覧することができます。
購入する場合はお得な【月額課金サービス】を利用して、ポイントに交換してから支払いますが、この月額コースがポイント300pt(税込330円)から設定されているのでリーズナブル!まずは低額から始めてみるもよし、ボーナス狙いで最初にまとめてポイント化し、その後自分の購入ペースに合わせてコース変更するのもありです。
また、めちゃコミックと他電子書籍サービスとの大きな違いとして、めちゃコミックは作品のレビュー・口コミ数が桁違い!作品を購入する際の参考にすることができます。
めちゃコミックは「気軽に・手軽にいろんなマンガを楽しみたい」人に、とってもおすすめな電子書籍サービスです!
注)「めちゃコミック」と「めちゃコミックアプリ版」は実は別サービスになります。どちらか一方で獲得したポイントはもう一方に反映されず、購入した作品も履歴が連動されないためもう一方のサービスを使って読むことができません。
基本的には配信作品は一緒ですが、購入時のポイント還元率をみてみるとWeb版の方がアプリ版よりもかなりお得なのです。
マンガを購入するときは「めちゃコミック(Web版)」を利用するのがおすすめです!
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Amebaマンガは、アメブロ・AbemaTVなどでも有名な、(株)サイバーエージェントが提供している”国内最大級の電子コミックサービス”です。
120万冊の電子コミックを取揃える漫画サービスで、無料作品は10,000冊超。無料連載も3万話以上配信されていて、特集などが随時目白押し、楽しくて飽きません。
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出典:Amebaマンガ
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もちろん月額プランはいつでも解約可能。必要ないと思った時点で”マンガコインを都度購入”に切り替えることが出来ます。
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漫画「狂眼」電子書籍と紙の単行本どちらが安い?
漫画「狂眼」紙の単行本をまとめ買いする値段はいくら?
漫画『狂眼』は今現在、従来の紙の形の単行本は出版されていません。漫画『狂眼』を入手するには、電子書籍版を購入することになります。
漫画「狂眼」を全巻まとめ買いするなら電子書籍がおすすめ
”電子書籍サービス”を使い慣れていない方にとっては、正直ハードルが高く感じられてしまうこともあるかと思います。
普通に本屋で本を購入するほどは気軽にできないイメージをお持ちの人もいるかもしれませんし、電子書籍は値段もイマイチ分からず身構えてしまうこともあるでしょう。
ところが電子書籍だと、もともとが紙の単行本よりも安く価格設定されているケースが多く、それに加えて「初回登録キャンペーン」や「割引クーポン配付」などの割引制度が利用出来るため、最終的な値段がかなり変わってくるのです。
‥‥とはいえ、電子書籍をまだ使ったことのない人には、少し抵抗があるかもしれません。ですが、実は電子書籍の方が、紙の単行本を本屋で購入するよりも、他にもかなりメリットがあるのです!
・紙の単行本よりも安いことが多い
・キャンペーン・クーポン等利用できる
・無料試し読みも出来る本が多い
・スマホにダウンロードしてどこへでも持ち運べる
・単行本の保管場所も必要ない
・在庫切れがなくいつでも買える
・本屋に無い昔のマンガも買うことが出来る
・「買い切り(購入)・レンタル・読み放題」と、読み方が選べる
上記のようなポイントは、まさに電子書籍ならではのメリットと言えるでしょう。
紙の本を本屋で定価より安く購入することは難しいですし、電子書籍サイトのアプリでなら「ダウンロード」が可能なケースがほとんどなので、Wifi環境下でスマホにマンガを入れておけば、出先でオフラインで気軽に楽しむことも出来、何よりかさばらず重くもありません。
マンガを全巻まとめ買いなど複数購入する場合は、絶対に電子書籍の方がお得&使い勝手が良いのです♪
漫画「狂眼」は電子書籍でレンタル・読み放題対象?
追加の比較対象として、マンガ『狂眼』の電子書籍全巻を買い切りではなく、レンタル・読み放題で読むことは出来ないかも一緒に調べてみました。
電子マンガを読む方法としては、大きく分けて「買い切り(購入)・レンタル・読み放題」の3つのスタイルがあります。レンタル(期間限定)や、読み放題(別の作品もたくさん読める)はお得ではありますが、残念ながら「自分の読みたい本が対象外」ということも多いので注意が必要です。
そこで、電子書籍のレンタルで有名なRenta!や、読み放題システムのあるAmazonKindle・コミックシーモアなどで、マンガ『狂眼』を全巻まとめ読みできるかを調べました。
レンタルサービス | レンタル対象か? |
Renta! | 購入のみ |
読み放題サービス | 読み放題対象か? |
Amazon Kindle Unlimited | 取り扱い無し |
コミックシーモア | 購入のみ |
BOOK☆WALKER | 取り扱い無し |
ブック放題 | 取り扱い無し |
上記の通り、残念ながらマンガ『狂眼』の全巻をレンタル・読み放題で読むことはできないという結果になりました。
全巻読むなら、”電子書籍を購入(買い切り)”するのが一番オススメであるという結論になります。
漫画「狂眼」あらすじ・ネタバレ
漫画「狂眼」1話 あらすじ・ネタバレ
女官に夜伽の相手をさせるのは、世子であるイ・ヒョン。自分の母親お手付きの女官を抱きながら、その顔にのるのは全くの無表情。寝所では声をだすことなかれという掟を守らないと、女官はいとまをだされてしまうのだ。
・・・・ああ、また「あの夢」だ。
ところ変わってこちらはとある女官の自室。ウヌは何度も見る「あの夢」をまたみていた。咲き乱れる花を眺めていると、花のように清らかな声が・・・振り向いた先にいた殿方にたちまち見とれ、恋しくなる・・・かの人は「泣くでない」と慰めの言葉をのこすと、花の向こうに消えていく・・・・
朝4時の鐘の音で目覚めると、そこに友人のミヒャンが半泣きで飛び込んできた。大妃付きの女官のウヌが、王妃の起居する宮殿に移動することになったのを聞いたらしい。
ミヒャンにとって大切な友人であり、大妃も可愛がっていたウヌが、大君を生んで以来変わってしまったと言われる王妃付きになってしまうのを、寂しくそして心配に思っているのだ。
ウヌは見目麗しき乙女でありながら、物おじしないところもあった。王妃の起居である中宮殿にうつったあとすぐに、次は世子が起居する東宮殿にいきなり移動させられても、驚きはしたもののすぐに従った。
どうやら今回の異動は急遽決まったらしい。わけもわからず東宮殿の女官たちが控える部屋に向かうと、なにやら騒々しい。
ひとりの女官が吐いていて、尚宮がその女官をいさめている。驚きながらも尚宮に挨拶をする。尚宮が言うには、邸下(世子)の身じまいの手伝い担当の女官が、霍乱(急性胃腸炎)を起こしてしまったらしい。女官は無理をおして自分が勤めあげると言っているらしいが、尚宮はさせるつもりはなさそうだ。
そして、いま来たばかりのウヌに「そなたが代わりを務めなさい」といきなり指名したのだった────。
漫画「狂眼」2話 あらすじ・ネタバレ
王妃のお気に入りであるジョンオクが霍乱し、代わりにウヌが邸下の寝所に呼ばれたことは、たちまち女官たちの噂になった。ウヌはまだ東宮殿に配属されたばかりの、それも大妃付きの女官だった者。おそらく王妃は良い気はしないはずだ。
一方のウヌは、夜伽に備えて入浴しながら、女官の役目とはいえ少しでも邸下にとって、特別な記憶として残ってくれたらという小さな欲を落ちつけようとしていた。
ウヌの入浴を手伝う女官たちは、ウヌが今宵の為に用意してきた茉莉花(ジャスミン)の香袋を見てあきれる。だって女官は一晩限りの相手なのだ。
一度でも邸下の夜伽をした女官は、二度と呼ばれることはない。一度呼ばれたらすぐに忘れ去られるように。私もきっとそうなるのだろう…ウヌの表情は曇った。
邸下の自室で座しながら待つ。目の前に飾られているのは「血剣」、おそらくは倭人を退けたときのもの。邸下の勇ましき活躍と、不遇な身の上、つらかったであろう心情に思いを馳せていると、
「物思いにふけるなと申したはずだ」突如ピンと張った声とともに、イ・ヒョンが家臣を従えて部屋に入ってきたのだった────。
漫画「狂眼」3話 あらすじ・ネタバレ
「伏せよ」イ・ヒョンが冷たく言う。
女官は決して王族の御体を見ることを許されない。けれどヒョンは明かりを消すことも許さない。そしてウヌに床に伏せよと命令する。
下の肌着一枚のみ身に着けた状態で、ウヌは床にひれ伏した。
「膝を立て頭を垂れれば、私を見ることもできぬだろう」ヒョンは冷たい笑みを浮かべながら、ウヌを上から見下ろした。ウヌは「はい、邸下」と返事を返すことしかできない。
明るい寝室で、局部が丸見えの姿勢を取らされ、いくら男女の色恋をまだ知らないウヌにもわかった。
そっけない口調や冷ややかな視線、事務的な情交、邸下はどうしてここまで・・・・
いきなりねじ込まれて思わず声が上がりそうになるウヌ。耐えるウヌに対して、ヒョンは全く顔色を変えない。そして
「中宮殿に今夜のことを、つぶさに報告せよ」と冷たく言い放ったのだった────。
漫画「狂眼」4話 あらすじ・ネタバレ
5日前の朝、ヒョンは王である父とその後妻であり自分にとって義母であるインヘ王妃のいる熙政堂へと、挨拶に馳せ参じていた。
一見すると物腰穏やかだが表情の裏に思惑を隠し持った様子のインヘは、夫である殿下の前で心優しき母の仮面をかぶりながら、世子のヒョンの現状を案じた。
日に日に美しくなるヒョンに悪いうわさがたっていることを殿下の前で臭わせ、世子嬪(世子に仕える女性)を迎えるように話題をしむける。
自分側の人間を義息子の世子嬪にあてがい、自らの地位をより強固にしたいのであろう…ヒョンはインヘの薄暗い計画を肌で感じ、暗澹たる思いにため息をついた。
「母でありながら世子のよからぬ噂も止められぬとは、後ろ指をさされて当然でございます・・・・」と涙を浮かべるしぐさをする妃・インヘに、殿下は心を痛める。インヘのたくみな言い方に、ヒョンは怒りを覚え、殿下はますますインヘの肩を持つ。
けれど、いざ殿下抜きで王妃と二人で接見すると、王妃の空気感は一変するのだった────。
漫画「狂眼」5話 あらすじ・ネタバレ
「大妃殿の至密だった女官が、世子の夜伽をしただと?」
ジョンオクが霍乱を起こして代わりにウヌが夜伽の相手をしたことは、すぐにインヘの耳に入った。おまけに、ウヌとの夜伽の次の日の朝、ヒョンはなかなか起きてこなかったという。
東宮殿の至密を選ぶ際に、大妃の顔色をうかがい、結果的に大妃つきの女官をこの東宮殿にいれてしまったことを、インヘは後悔した。
ウヌとの一夜のあと、ヒョンは起こされるまで寝床を出ず、起きてからもいつになく活気が漲り、顔も朗らかだったらしい。あの、夜ごと刀を手に持っていても寝付けぬ世子であるにもかかわらず、だ。
いままでの女官が夜伽をした日とは明らかに様子が違うことを、インヘは苦々しく理解した。
そこでウヌを自室に呼びつけ、世子の好みを見てやろうという気持ちになった。意識が飛ぶほどよかったのか?あの狂眼が?密蝋のように硬い表情で私を蔑むあの狂眼が…
インヘはまだ見ぬウヌへの不快感をにじませながら、フフフと笑みをうかべるのだった────。
漫画「狂眼」6話 あらすじ・ネタバレ
「ならば私が代わりに褒美を与えてもよいか?」
ウヌを自室に呼び出し、ヒョンが気に入ったのかもしれない女官の楚々とした花のような魅力を見て、彼女を世子から引き離すべきか、それとも自分の味方につけるべきかと思案したインヘ。
聞けば尚宮に上げるという話もなかったという。そこで褒美をちらつかせてみることにした。
ところがウヌはめっそうもないと委縮するのみで、もので操れるおなごではないことをインヘは感じた。
インヘは家臣に茶と菓子を用意させた。慌ててインヘの呼び出しに応じたため、朝ご飯もなにも食べずに来たウヌは、煌びやかな菓子のあまりのおいしさに思わず顔がほころんだ。その様子を見ていたインヘは、ならばと菓子と絹衣、飴などを褒美として手渡した。
周りの目を引かぬよう裏口から遠回りして帰ることになったウヌ。ひとりで帰るそのウヌの姿を、一人の男性が遠くから見ているのも気づかずに────。
漫画「狂眼」7話 あらすじ・ネタバレ
夜伽に満足したので何を望むか言うてみよ────。まるでウヌを試すかのように提案するヒョン。
女官たちの望むことなど、たかが知れている。ヒョンは、ウヌの返答もきっとほかの女官と同じようなものだろうと思っていた。ところがウヌは意外な願いを口にした。
「私には部屋を共にするミヒャンという友がいます。私はこれからもずっとミヒャンと一緒にいたいです。このまま…今の場所で女官を続けさせてください」
女官を続けることがそなたの望みか?驚くヒョン。理由を申してみよと促すと、ウヌは
「私には今の仕事以外にできることがありません。また、私は尚宮になりたいのです。特別待遇を受けてなるのではなく、今のまま、精いっぱい励んで、40歳になるまでに尚宮になりたいのです。尚宮になり、見習い女官たちに愛と学びを与え、手本となる尚宮になりたいのです」
まっすぐとヒョンの顔を見据え、凛と答えるウヌを見て(この女官は自分の人生に一寸の乱れも許さないのだな)と感銘を受けたのだった。。。
漫画「狂眼」8話 あらすじ・ネタバレ
「服を脱げ」ヒョンがウヌに言う。ウヌは静かに従い、下着と髪を束ねる布を残して、服を脱ぎ落した。
けれどヒョンは「すべて、一片も残すな」と強く言う。ウヌは髪の毛をほどき、生まれたままの姿になった。
ヒョンは小刀の鞘でウヌの髪をなぞった後、のど元にあてがった。ただなされるがままのウヌ。
「声を出さぬつもりか?」フッと嗤うヒョンに、ウヌは「はい、邸下」と従順に答えた。するとヒョンは「ならば賭けをしよう」と突然提案を始めた。
「十を数える間にそなたから嬌声を引き出して見せよう」
驚くウヌに、ヒョンは「数えろ。嬌声を耐えれば生きて返してやる」と、鞘をのどに突き付けながら言い渡す。ウヌは震える身体を自らの腕で抱きしめながら、ただただ従うしかすべがなかった────。
漫画「狂眼」9話 あらすじ・ネタバレ
邸下に危険をおよぼすようなたくらみを仕組んでないか、自らの身体を調べてくれというウヌ。
そんなウヌに口で奉仕させて快楽を得ながらも、ヒョンはまだかたくなにウヌを信じようとしない。目を閉じて必死に奉仕するウヌを見てイラつくヒョン。
「調べろと申しておいて、目を閉じるのか。どこまでも頭の悪いおなごだ」とウヌの髪の毛をつかみながら言う。口を離し「もうお済ですか?」とけなげに聞いてくるウヌにしんぼうたまらず、
ヒョンは腕をつかむとウヌが自らの衣装を敷いてよごれないようにした文机の上に、ウヌの足を持ち上げて押し倒した。
そして冷酷な表情で
「よいか?そなたの足が文机の下に落ちた瞬間、首をへし折ってやる」
と言い放ったのだった────。
漫画「狂眼」10話 あらすじ・ネタバレ
「勤めを果たさせてください」と泣いて懇願するウヌを押し倒し「そなたの、この卑しい体で、私を動かそうというのか」と詰め寄るヒョン。
そういう意味ではないけれど、ヒョンの好きにしてほしいと涙を浮かべるウヌ。
ならばと言われたとおりに押し入るが、ウヌは寝床のきまりを破るまいと声を出さずに堪えている。ウヌを鳴かそうと身体への愛撫をより深くするヒョン。思わず声が上がるウヌ。
ウヌを鳴かせるつもりのヒョンだが、自分の身体の方が快感を感じていた。いままでの女官との夜伽との違いを考えながら果てるヒョン。と、ウヌがすぐに起き上がって「お拭きします」とけなげに申し出た。
…私の欲望などつゆ知らず、この女官は自分の役目に忠実なだけだ…。その姿が小生意気で、なおさら執拗になる…。
ヒョンはウヌの腰を引き寄せると、ウヌの片足を自らの肩の上に押し上げて────。
漫画「狂眼」11話 あらすじ・ネタバレ
ウヌの反応は相変わらず控えめで、悦楽に耐え切れずに動かした手でヒョンの衣服を掴むだけだった。
けれど、ヒョンのほうはウヌの身体におぼれていた。果てたあとウヌの頭を胸に抱き、夜が長くてよかったと心の中でつぶやく。
ウヌの狼狽える顔が見たくて、じらすように抱くヒョン。ウヌの声をずっと聞いていたかった。
あまりにウヌを抱くことに気を取られすぎて、思わず中に射精してしてしまう。ヒョンが自分の気のゆるみに動揺していると、ウヌが
「邸下、私の中で果てられたことは、気になさらないでください。しょせん私は・・・・種が宿らない身体ですから」
とそう口にしたのだった────。
漫画「狂眼」12話 あらすじ・ネタバレ
ぱちっと目が覚めたウヌ。あれからすっかり寝てしまっていたらしく、慌てて起き上がる。と、横のヒョンは深い眠りの中にいた。
その綺麗な寝顔に思わず見とれてしまったが、早く支度をして部屋に戻らなければならない。服を身に着けながら(またちゃんとお勤めを果たせなくて、合わせる顔がないわ)と思っていた。
部屋に戻る前、再びヒョンの寝顔を見つめる。心の中で(私を生かしてくださって、ありがたき幸せに存じます)とお礼を言うと(恐れ多くも邸下のお姿をこの目に焼き付けて帰ります)と深々と床に身を伏せた。
静かに外に出ると、まだ空気は冷たく、身体が一気に冷やされた。その感覚は、昨夜のことを思い起こさせた。あの、ヒョンに訳も分からず詰め寄られ、必死に耐えていたやるせなさと悲しみの感情を・・・・。
浮かんだ涙をごしごしと服で拭くと、自室に向かって歩き出す。そこへ東宮殿の夜間見回りの男性たちが現れた。ウヌがなぜこんな時間に出歩いているのかを問うてくる。
ウヌは自分の名を名乗りながら、意識が少しずつ遠のいていき、そのままその場に倒れ込んでしまったのだった────。
漫画「狂眼」13話 あらすじ・ネタバレ
倒れたウヌは”あのころ”の夢を見る。幼き日の、ヒョンを隠れてそっと慕っていた”あのころ”の。
大后様に頼まれて、ヒョンの詩を読み解くために、何度も何度もヒョンの居住する屋敷にそっと忍び込んでいたウヌ。今日はどんな詩をお読みになるのだろうか。
春の風にかき消されてしまわぬよう、ヒョンの声が聞こえるようにそっと物陰に隠れつつ近づく。今日は孟浩然の詩のようだ。
自らも会得した孟浩然の詩の知識を思い出しながら、ヒョンの声と合わせて地面に枝で詩を書いていく。近い場所で、ヒョンと同じ詩をいま読むことに、心が高鳴るウヌ。ふとヒョンの声がやみ、見つかったかとドキッとするが、またヒョンの声が続いてウヌは地面に続きを書き連ねていった。
落花有意 流水無常・・・・ 悲しい言葉ね。。
集中して地面に書き写していると「流れる水は無情にも花を運んでいく」と声がした。
ふっと顔を上げるウヌ。そこに目にしたのは、ウヌを見下ろすヒョンの姿だった────。
漫画「狂眼」14話 あらすじ・ネタバレ
寝所に朝の光が差し込みヒョンが目を覚ます。よく眠れたようで、すがすがしい目覚めを感じていた。
ふと横を見やると、ウヌの姿はすでになかったが、チマの中につるすはずの香袋が忘れてあり、ほのかな香りを漂わせていた。
やれやれこんなものを置き忘れるとは。。。とあきれた表情を一瞬だけ浮かべたが、すぐに、ウヌの慌てふためく姿が目に浮かんで、思わず軽く破顔した。
ところが10日もたったころ、尚宮がウヌの処遇についてヒョンに「彼女を今いる退膳間からしりぞかせてはどうか」と直談判しにやってきた。おどろくヒョン。
聞けば、ウヌは寵愛を受けたことが原因で、つまはじきといった酷な扱いをうけているらしい。尚宮様が口出しされるなんてめずらしい。。。とヒョンを支える参謀的存在のヒュルは、部屋の入り口から様子を伺っている。
やがてヒョンはヒュル以外のものを退席させて報告をさせた。実はヒョンはヒュルに、ウヌに関してひそかに詳しく調べさせていたのだった────。
漫画「狂眼」15話 あらすじ・ネタバレ
「邸下、もう少しお召し上がりください」朝食を食べるヒョンの様子を見て、ヒュルが口をはさんだ。今日は殿試の陪席を努めなければならない日、汁物ばかり食べていてはいけない、肉をお召し上がりくださいと小言を言った。
朝っぱらから食事の見張りかと言い返しつつも、ヒョンとて今日の任務が自分にとってどういうものであるのかは熟知していた。
兵曹判書のイム・ジソ以外の人間は、みな王妃ユン・テギョンの息がかかった者たちだ。ヒョンをよく思わない重鎮たちが集まる殿試を、ヒョンは今日無事に乗り越えなければならないのだ。
やがて殿試の時が来た。涼しくはあるが、武科の科目のひとつである弓術には少々風が強い。イム・ジソは、王妃派の者たちがしらじらしくも邸下のことを上げたり下げたり噂するのを静かに聞いていた。
そこへヒョンが家来たちを引き連れてやってきて────。
漫画「狂眼」16話 あらすじ・ネタバレ
騎蒭(馬に乗り藁人形に矢を射当てる馬上武芸)を試験生たちの前で、ヒョンに披露させようと企む領議政。騎蒭はとても鍛錬が必要な武芸で、体調の芳しくないヒョンがいま行うのは危険極まりなく、ヒュルはヒョンの傍らに控えながら気が気ではなかった。
平常心を失ったまま馬に乗ってはいけない、お断りください邸下、とヒョンに合図を送るヒュル。しかし、ヒョンは父親である殿下からもたきつけられ、大勢の目の前で引き下がることはできなかった。
「ヒュル、私の馬と弓を持ってこい」と命令するヒョン。それを見て「今日は面白いものが見られそうですな」とニヤニヤ笑う王妃派の者たち。父は険しい表情で見つめるのみだった。
連れてこられたのは、戦で活躍したと名の高いヒョンの馬。ヒュルは心配そうに馬の手綱をヒョンに手渡したが、賽は投げられてしまった。ヒョンは心に強く念じた。
平常心を保て。さもなくば、狂気に飲み込まれてしまうだろう────。
漫画「狂眼」17話 あらすじ・ネタバレ
ヒョンは一度は馬上で意識が遠のき、あわや落馬かと思われたが、正気を取り戻して無事に藁人形を射抜くことができた。胸をなでおろすヒュル。
試験生たちはヒョンの英姿を大声でほめたたえたが、殿下はなにやら険しい表情でヒョンを見ていた。
体調のすぐれない様子ながら、殿下の御許へ戻ってきたヒョン。しかし殿下のヒョンへの助言は辛辣なものだった。加えて背後に控える領議政が、ヒョンの自制心を刺激するような失礼なことを言う。
あのような言葉に邸下が惑わされなければいいのだが…しかしヒュルの悪い予想は当たり、ヒョンはヒュルの腰刀を抜くといきなり領議政に切りかかってしまった。
しまった!ヒュルが慌てて飛び出す。正気を失った様子のヒョンが刀を振りかざす。間に割り入ってヒョンの刀を同じく刀で受けるヒュル。邸下の”狂症の発作”が始まってしまった…せっかく抑えてきたのに…周囲の護衛の家来たちがヒョンに向かって弓を構える。
なにか、なにか手はないか・・・・そのときヒュルの脳裏に浮かんだのは、ヒョンが気に入っているらしいウヌの顔だった────。
漫画「狂眼」18話 あらすじ・ネタバレ
ヒョンが寝かされた部屋の入り口に立っていたのはウヌだった。ウヌは傷だらけのヒョンの身体や、つらそうな様子に胸を痛めた。
狂症は知っていたけど、ここまでだったなんて・・・・「邸下、いったいどうされたのですか!」ヒョンの元まで走り寄り、そう声をかけるウヌ。
ウヌの顔を確認すると「そなたが…なぜ…ここに。。。」と言い残して、ヒョンは気を失ってしまった。
崩れ落ちるヒョンの身体を支えたヒュルは「ようやく落ち着かれたようです」とウヌに状況の説明を始めた。
「四半刻、遅くとも半刻もあれば意識がお戻りになるでしょう。御覧の通り、煎じ薬はお飲みにならなかったので、真っ先に与えてください。見張りのものもすべて退けます。どうかよろしくお願いします」
ウヌはとても自信なさげで、役に立てるかどうか…と顔を伏せている。そんなウヌにヒュルは「あなたならできます」と断言し「そして、あなたにしかできないことなのです」と続けたのだった────。
漫画「狂眼」19話 あらすじ・ネタバレ
ウヌがヒョンの元へ駆けつけるその一時間前。炊事場で仕事をしていたウヌは、突然「一刻を争う事態だ、前掛けを外していますぐ誠正閣で待つ左翊衛(ヒュル)殿のところに向かいなさい」と指示を受けた。
建物の外で明かりをもって立っているヒュルのところへ慌てて向かうと、ヒュルはどうしてもウヌの力を借りたいという。
邸下に何かあったのですか、噂では殿試で刃傷沙汰があったとお聞きしましたが。。。とウヌが心配そうに聞く。邸下は現在意識が朦朧としておられます、と説明するヒュル。どこかお悪いのですか?お怪我を?とますます心配を募らせるウヌを見て、ヒュルは改めて現状を説明し始めた。
ヒョンが狂症を患っていることは、東宮殿の女官なら知らない者はいない。そしてウヌももちろん知っていた。狂症とは、突然苦痛に襲われ、自傷行為と発作を伴う病で、病が発症すると発作の後は失神してしまう。
今回ヒョンが発症したのも持病の”狂症”で、ヒョンはいつも意識が戻ると女性を抱き、その女性のことは忘れてしまうのだという。
本来ならこのことは女官には説明しないのだが、ウヌのことは「一介の」女官ではないと感じて、ヒュルは説明したのだった────。
漫画「狂眼」20話 あらすじ・ネタバレ
医官以外は振れようともしない自らの身体に付いた傷跡を、優しく撫でて癒そうとしてくるウヌに心を動かされたヒョン。ウヌのその手をグイと引くと、寝床に押し倒して上からのしかかり、
「どうやらそなたは、立派な女官になるのはあきらめた方がよさそうだ」とウヌを見つめていった。
ウヌの肌着の紐を引いて裸にするヒョン。いままで夜伽の相手をしながらも、禁じられたことを守ってきたウヌは、ヒョンの身体をしっかりと見つめたことがなかった。直視してはいけない決まりではあるけれど、今宵はヒョンの身体から目を離すことができない。
逆に、目を合わせるのは恥ずかしくてつい顔を赤らめてそらしてしまうウヌ。
「私の唇が恋しかったか?」とウヌの胸元に顔をうずめながら聞くヒョン。「15日です…15日間私をお呼びになりませんでした」と言うウヌに「呼ぶ理由がなかった」と返す。涙ぐむウヌ、けれど「待っていたのか?」と素直に聞くヒョンに「毎日考えておりました」と手を伸ばす。
ヒョンはそんな健気なウヌをじっと見つめると、顔を近づけ深く口づけをした────。
漫画「狂眼」21話 あらすじ・ネタバレ
翌朝、ヒュルがヒョンの部屋に向かうと、扉の間に立っていた護衛に「邸下はウヌのおかげで落ち着いた」ことを知らされた。ほっと胸をなでおろすヒュル。しかし今は中に入れないと止められた。
いまヒョンの元にはヤンピョングン大監が問診に訪れているという。ヤンピョングン大監は、以前戦でヒョンが拉致された後にヒョンを診た医師であり、同時にヒョンの病についても唯一知っている”忠実な医師”である。
部屋の中ではヤンピョングン大監がヒョンに「半年ぶりの発作が起こったのは、武科の殿試で無理をしたのでは」と案じていた。
「馬に乗りながら矢を射たのが久々だったゆえ、緊張したのだろう」とヒョンは答えるが、その実、馬で矢を射るのはいつものことだった。発作を起こすほど緊張するわけはないが、自らの中の、ずっとふたをしてきた怒りにいつまでたえられるだろうか…とヒョンは思った。
と、突然ヒョンが医師に「茉莉花の香りに、症状をやわらげる効果があったりするのか?」と問うた。茉莉花、それは昨夜ウヌがチマの下から取り出してヒョンを癒してくれた、あの香りのことだった────。
漫画「狂眼」22話 あらすじ・ネタバレ
ウヌの手持ちの衣服はズタズタに切り裂かれていた。同室のミヒャンが夜勤で部屋を開けている間に、誰かが部屋に忍び込んで蛮行に及んだらしい。
王妃からもらった褒美の衣装のみ無傷で残っているあたり、おそらく犯人は中宮殿直属だったジョンオクの仕業だろう。
ウヌの後ろでミヒャンが悲鳴を上げた。ミヒャンはウヌが心配で仕方ないのだ。何も抵抗せずにまた仕事に向かおうとするウヌを見て、ミヒャンがたまらず声をかける。
邸下に呼ばれたばかりの子が仕事に行くなんて、それも意地悪されるのを分かったうえで行くなんて。特別尚宮になって楽に過ごせばいいじゃないのよ…
涙を浮かべるミヒャンに「私は大丈夫よ、ありがとう。いってくるわね」と淡い笑顔を見せてウヌは部屋を出た。
…本当はウヌはずっと苦しんでいた。自分に特別尚宮になる資格はないのだ。子を宿せない女が特別尚宮だなんてとんでもない。ただ宮廷の隅に咲く野花のように、静かに咲いて散ればいいのだ…
漫画「狂眼」23話 あらすじ・ネタバレ
「これからはそなたを頻繁に呼ぶつもりだ」と書類を見ながら事務的にヒョンに言われて、戸惑うウヌ。
「…邸下はこれまで同じ女官を二度呼ばれたことがないばかりか、昨夜は邸下が直接呼ばれたわけでもなく、なにより発作を起こしていらっしゃったので…」とかしこまりながら昨夜のことを口にするウヌに、
「それでそなたは、私と共にした昨夜の悦楽はなにごとでもなかったと?」と言い、そのまま流れるように部下に仕事の指図をする。
部下が部屋を辞したのを見計らって、ヒョンは「寵愛を受けて尚宮になるのが嫌だと言えば、後宮にでもなれると思ったのか?浅知恵を働くつもりなら、それもよかろう聞き入れよう。そなたが求めるものはなんだ」と冷笑した。
「後宮だなんてめっそうもございません。まだ嬪宮様もいらっしゃらないのに、掟に反するとんでもないことでございます」とウヌは顔を伏せながら強く否定した。
そんなウヌの様子をじっと見て、ヒョンは「近くに寄れ」と自らの横の布団をたたいて指図してきて────。
漫画「狂眼」24話 あらすじ・ネタバレ
庭の池を望むように建てられたお堂にたたずみ、ウヌに想いを馳せるヒョン。先日強く当たって以来、彼女には会っていない。たった数日顔を見ていないだけなのに、気になって仕方がない。。。
一方のウヌは久しぶりに大妃に呼び出されていた。大事な手紙を礼曹参判のチョ・イルムンに届けてほしいと頼まれて、快く引き受けた。
実は大妃はウヌの身の上を案じていた。もう何度も世子の寵愛を受けているのに、ウヌの身分が全く変わらないことをいたく心配していたのだ。
ウヌは世子に近しい存在となる者の順序は守らねばならないこと、そして、自らが子を成せないことを改めて口にし、これは自分が望んだ形であることを説明した。
ウヌにとって、退勝間での嫌がらせは受け流せるけれど、ヒョンのことがどうしても毎日頭に浮かんでしまう今の状況がとてもつらいのだった。
頼まれた手紙を届けるために、自室に戻って唯一無事だった”王妃からの褒美の衣装”を身に着けることにした。来ているチマを脱ぐウヌ、しかしその身体には、ミヒャンが驚きの声をあげるほどのたくさんの傷がついていたのだった────。
漫画「狂眼」25話 あらすじ・ネタバレ
チマを拾ってくれた男性に手首の傷をみられてしまい、気まずくてすぐにその場を去ったウヌ。ところが気のせいだろうか、その男性がずっとウヌのあとをつけてくるのだ。
チョ大監のお屋敷はまだなのかしら、はやく探さなきゃ。
徐々に早足になるウヌ。必死で歩くが後ろの男性も同じように歩調が早くなり、道は人通りもなくどんどん暗くなっていく。
(襲われたりしたらどうしよう!)不安になりながら、頭からかぶったチマをギュッと握りしめる。
と、後ろを歩く男性が「あの、この屋敷に何か用ですか?」と声をかけてきた。
固まるウヌに対して、屋敷を指さし「チョ・イルムン大監の屋敷です」と言う男性。いよいよ不安になり後ずさるウヌ、けれど男性はそんなウヌに対して笑顔を浮かべ
「チョ・インホと申します。礼曹参判のチョ・イルムンは私の父になります」と自己紹介をした。インホ曰く、失礼のないようにウヌを追い越そうとしたけれど、あまりに早足でなかなか追い越す機会を得られなかったらしい。
とんだ勘違いをしてしまったウヌは気まずくなりながらも、インホに自己紹介と手紙を言付かってきたことを伝えるのだった────。
漫画「狂眼」26話 あらすじ・ネタバレ
突如大妃に呼び出され、困惑しながらも屋敷に向かったヒョン。敵だらけの宮廷で、大妃はヒョンにとってヒュル以外の唯一の味方だった。
大君時代は大妃と談笑すると、いつも気持ちが晴れやかになれた。詩を持参して大妃の元に通ったあの頃が、今思うと最も幸せだった。
共にお茶をたしなんでいると、大妃が「実は昨日ウヌに、礼曹参判へ手紙を届けるよう頼みました」と言い出した。ウヌの名前を耳にして、すこし硬い表情のヒョンが、そうですか…と応える。
「世子にも考えがあってのことでしょうが…」と前置きをすると、大妃は”このままだとウヌは宮廷での居場所がなくなってしまう”こと、そして”女だけの空間は男同士の争いごとより情け容赦がない”と切り出した。
ヒョンが「彼女が誰かにいじめられているとでも?」と初めて気づいたように言う。ヒョンは、ウヌを思うと胸が締め付けられるように痛むことを自覚した。
また、大妃はヒョンに「紹介したい人がいる」ともいった。それは礼曹参判チョ・イルムンの次男で、大妃の甥御でもあった。その彼インホは、先日の殿試の騎蒭の試験で5発を命中させた「たったひとり」でもあった────。
漫画「狂眼」27話 あらすじ・ネタバレ
ウヌが苦しんでいるかもしれないこと、そしてウヌの傷をインホの家族のものが手当てしたことを聞いて、居ても立っても居られなくなったヒョンは、大声で家臣にウヌを呼ぶように言いつけて、自らも大妃の部屋を勢いよく出て行った。
その様子を見ていた大妃は、ヒョンが激しく感情をあらわにするようになってしまっていることを心配した。
インホはヒョンの怒りに驚き、自分がウヌのことを口にしたせいだと反省していた。そして、ウヌが美しくて透き通るような人だったのは、世子の寵愛を受ける者だったからかと納得もしていた。
大妃は、ウヌがヒョンの夜伽の相手をし、ウヌの身辺が大きく動き出したのは、自分が王妃と口争いしたのと同じころだったと気づいた。おそらく自分が王妃のやりくちに釘をさしたことで、急遽ウヌが東宮殿によばれたのだろう。
まさかウヌがこれほどまでにヒョンの心を揺さぶるとは。これぞまさに”策士策に溺れる”だ、と大妃は王妃のことを笑った。
屋敷に戻ったヒョンのもとへ、ウヌが呼び出されてやってきた。ヒョンはイライラと部屋の中をうろついてウヌを待っていたが、ウヌの顔を見た途端、自分の気持ちを思い知った。これは「鬱積」ではなく「会いたかった」という気持ちだったということを────。
漫画「狂眼」28話 あらすじ・ネタバレ
「正直に申せ!」強く言うヒョンの目の前には、ウヌの傷だらけの脚があった。
震えながら「…転びました」と小さな声で答えるウヌ。ヒョンは勢いよく立ち上がるとウヌの肩を掴んで「座れ」と言いその場に座らせた。驚くウヌ。
血が付いた足袋を脱がせて足の傷の様子をきちんと把握する。中宮殿の生菓房にうつってたったの二か月で、これほど足に傷ができるものなのか?
「何の傷だ?これも転んだと申すのか?」詰問するヒョン。不安そうなウヌの腕をつかむと、そこには包帯がほどけた下にひどい傷が見てとれた。
これが手当てだと?なんといい加減な!これほど血が滲み出ているのに!と、おそらく手当てしたのであろうインホに悪態をつくとギリリと歯を食いしばる。
ウヌが視線をそらしながら「私の不注意でやけどを負ってしまいました。食器を洗うと包帯が水にぬれるので外しただけです」と取り繕うように言うが、ヒョンには全く通用しない。
「炭を当てられたのか!一体誰に!正直に申せ・・・!」と言うと、ヒョンは突然胸を押さえて苦しみだしてしまったのだった────。
漫画「狂眼」29話 あらすじ・ネタバレ
「一体これは何事だ!」ヒョンの大声が厨房に響き渡った。女官たちが「て、邸下…万死に値する罪を犯しました」と恐れおののきながら地面にひれ伏す。
頭から汚水をかぶせられたウヌが地面に座り込んでいる。その横に身をかがめたヒョンは、自らの着物を脱いでウヌの肩にかけた。
全身が汚れ、とても具合が悪そうなウヌの顔をなでながら「ウヌよ申してみろ。誰を殺そうか?」とヒョンが言う。それを聞いていたジョンオクたちがブルブルと震えていた。「死をもって償うと申しているではないか。私は誰を殺せばいい」と改めてヒョンがウヌに聞いた。
けれどウヌは「どうか…皆、邸下のために朝から晩まで身を粉にして…」となんとかヒョンの興奮を鎮めようと頭を働かす。
「邸下、私のことはご心配なく」そういうとウヌは自らの手をもちあげると、ウヌの肩を抱くヒョンの手にそっと沿わせ、「邸下がご夕食をお召し上がりになったので、私は内医院に行ってまいります」とヒョンを見上げて微笑んだのだった────。
漫画「狂眼」30話 あらすじ・ネタバレ
朝、目を覚ますとウヌの姿が寝床に見当たらない。慌ててヒョンが起き上がると、ウヌはヒョンの背後に目を伏せて控えていた。「もう少しお眠りください」とウヌが言う。
「なぜそこにいるのだ」とヒョンが聞くと、ウヌは「目を覚ますと寝具に横たわっておりましたので、畏れ多く…」と目をふせたまま答える。
けれど帰れなかった…とそのあと続けたウヌに、ヒョンは、熱があるのかそれともウヌをいたぶる者がいるのかと、頭に次々湧いてくる疑問を抑えることができなかった。
ウヌに理由を聞いても、身体はすっかりよくなったなどと嘘しか言わない。ウヌを近くに呼びよせ、額を触るとまだ熱がある。心配で医女に診察させようとするヒョンに、けれどウヌは
「歩けます。ただ…邸下のお顔をもう少し…もう少しだけ目に焼き付けようとしておりました」と顔を赤らめて白状したのだった────。
漫画「狂眼」31話 あらすじ・ネタバレ
ウヌの心の声を聴き、具合が悪い時に手を出すつもりはなかったけれど、ヒョンはどうしても我慢することができなくなった。
ウヌを寝床に横たえると、自分の手で衣服を脱がせてウヌの身体を優しく愛撫した。そんなヒョンに思わず照れてしまって、手のひらで顔を覆って真っ赤になるウヌ。その様子を見ていたヒョンは改めて、ウヌのことを愛らしいと感じるのだった。
その時ウヌの目に、ヒョンの左肩にある深くて広い傷跡がうつった。覆いかぶさるヒョンの左肩にそっと腕を伸ばすと、ウヌは「この傷…まるで…花のようです」とつぶやいた。
そしてしばらくじっと傷跡を見つめたウヌは、そのまま顔を寄せて傷口をぺろりと自分の舌でやさしく舐めた。
おもわず声を上げるヒョン。ぺろぺろと舌で傷を愛撫するウヌは「美しい…花…美しい雄しべのついた花です」と重ねて言う。
皆が気味悪がる傷痕を、そなたは花と呼ぶのか…。
ヒョンは傷痕に触れるウヌの腕を優しく取ると、そのままその腕にそっと口づけたのだった────。
漫画「狂眼」32話 あらすじ・ネタバレ
ウヌと抱き合うことで久々に”悦び”を感じ、そして事後にウヌを抱きしめることで初めて”悦楽後のぬくもり”を体験することができたヒョン。
小さく笑みを浮かべながらウヌを抱きしめるヒョンの様子に、ウヌも幸せそうに涙を浮かべて微笑んだ。
ウヌはそっとヒョンの肩の傷に手のひらを添わせて、静かに話し始める。
「不思議とここが…この傷のことがずっと頭の中に浮かびました。なぜ苦しいのですか?何が苦しめるのですか?」
そして傷痕にそっと口づけ「何をしまい込んでいらっしゃるのですか?」と問うた。
ヒョンは「・・・・何も」と言うが、その手でウヌをぎゅっと抱きしめる。
ウヌは傷痕に額を寄せて「私が食べてしまってはいけませんか?毒を…邸下が抱えていらっしゃるその毒を、私が食べてしまってはいけませんか?」と真剣なまなざしでヒョンを見上げた。
毒か…私の毒…
ヒョンは眉間にしわを寄せ、ウヌを抱きしめ、そうして、あの18の時の戦について語りだしたのだった────。
漫画「狂眼」33話 あらすじ・ネタバレ
戦の途中でヒョンをさらったのは、朝鮮の王家を恨むジョン・ヨリプの息子だった。父王への忠誠を心に抱きながら、拷問に耐えるヒョンを「父親とは違ってしぶとい男」と言う盗賊。
ジョン・ヨリプといえば大同契の中心人物で、いまやかれらは族滅に遭ったと思われていたが、実は彼らは生きていた。
ジョン・ヨリプは、悪名高いギル・サムボンという盗賊と手を組み謀反を企てたとされていた。だが実はギル・サムボンを実際に目にしたものはいない。
ジョン・ヨリプの長男は拷問にあい、在りもしないギル・サムボンを”存在する”と認めてしまった。けれど存在すら疑わしいギル・サムボンを探し出すのは難しい。
そこでヒョンの父親は自分の政敵であるチェ・ヨンギョンをギル・サムボンとして処刑し、ジョン・ヨリプの長男も自らの手で拷問し殺したという。
ジョン・ヨリプの息子は、灼熱に熱されたコテをヒョンの肩口に押し当ててヒョンの皮膚を焼きながら、ヒョンの父親の悪行をつぎつぎと突き付けていくのだった────。
漫画「狂眼」34話 あらすじ・ネタバレ
あまりに残酷な現実を突きつけられ、ヒョンはうなだれ涙を流しながら、ジョン・ヨリプの息子に「殺せ」と言い放った。
それが父王のご意思なら受け入れよう…ヒョンが諦念の表情を浮かべると、ジョン・ヨリプの息子が「あんな父親のために命を捨てると言うのか。貴様ごときが朝鮮の希望だなどとよく言えたものだな!!」と激高する。
けれどその敵の挑発的な言葉も、ヒョンの心には届かなかった。目の前の”花押つきの文書”がヒョンにもたらした衝撃はあまりに大きく、ヒョンは拷問の中で意識を失い地面に倒れた。
ふと気付くとなにやら外が騒がしくなり、突然扉の向こうにヒュルが現れた。助けに来てくれたのか…朦朧とした意識の中で礼を言うと、今度はジョン・ヨリプの息子が血まみれで現れた。
「どこへ行くのだ…世子…。私は…貴様の口から…聞かねばならないことがあるのだぁ!!!」と血濡れの刀を振りかざしてヒョンに襲い掛かろうとした。
けれどヒュルが返り討ち、ジョン・ヨリプの息子は地面に崩れ落ちた。彼は最期にヒョンにどうしても聞きたかったことを口にしたのだった────。
漫画「狂眼」35話 あらすじ・ネタバレ
「邸下」領議政が声をあげた。先の戦を乗り越えられたのは、民の力ではなく明の”救援”があったからであると。
しかしヒョンは追及の手を緩めない。本当に”救援”だけが国を救ったのか、歪んだ心で民に目を向けているのではないか、そして戦後の苦労にあえぐ民を励まし寄り添う心を持てているのかと。
民に寄り添う政治をしない部下たちを糾弾し、度々上訴される”防納”も例に出して現状をきつく批判した。
それを聞いていた領議政は心の中で、ヒョンに対してますます反感を固める。なぜなら”防納”は、自分たち一族を支える大事な資金源だったのだ・・・・。
書筵を終えたヒョンは、あの時のジョン・ヨリプの息子の批判と訴えを改めて思い出していた。そして同時に領議政の発言も思い出し、怒りを必死に抑えようとしていた。
そのとき、ふっと、ウヌの笑顔と声が頭の中に浮かんだ。あのウヌの「その毒私が食べてしまいましょう。どうか健やかであられますよう」という穏やかなセリフとともに────。
漫画「狂眼」36話 あらすじ・ネタバレ
明の恩を忘れるなとしか唱えることができない領議政たちに頭を痛めつつ、書筵のあとは報春亭に行くことにしたヒョン。実はウヌを報春亭に移動させたのだ。
提調尚宮は自分にはあまりに荷が重い、至密尚宮になりたいと言っていたウヌの希望を叶える形で、報春亭で”書物を担当する”至密尚宮として働かせることになったのだ。
実はウヌが至密尚宮に憧れるのには理由があった。もじもじとしながら口にしたのは「至密尚宮が結い上げた髪に刺すかんざしが美しくて・・・・」という愛らしい理由だった。
ヒョンは報春亭に向かう途中、それを思い出しながら思わず声を出して笑ってしまった。その後ろを歩いていたヒュルと部下がびっくりして顔を見合わせた。
報春亭に到着すると、ヒョンは書庫を覗きにむかった。中では書物を両手に持ちながら、幸せそうに微笑むウヌが仕事をしていた。
ウヌの結い上げた髪には美しいかんざしが刺さっている。それはウヌがヒョンにおねだりした、紅玉があしらわれた銀の美しいかんざしだった────。
漫画「狂眼」37話 あらすじ・ネタバレ
王妃インヘは父親から、書筵でのヒョンの様子を聞いていぶかしがった。王妃陣営への宣戦布告かとも思ったが、父親は「そういうわけでもなさそうだ」という。
世子の意中を把握できてない父親を責めるが、最近のヒョンは情緒が不安定でなく、どことなく変化がみられるのだと父が言う。
世子の弱点は”心が不安定”なところであって、その唯一の弱点がなくなってしまっては・・・・事実、ヒョンの様子はウヌと会うようになってから変わってきていた。
苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべていると、そこへインヘの息子・大君が保母尚宮とともに入室してきた。途端に母の顔になるインヘ。
まだ足元がおぼつかない幼い大君はころんでしまうが、聡明な様子で涙を拭くと、大丈夫だと背筋を伸ばす。勉学にもはげんでいるようで、退室の際は丁寧にお辞儀を残してその場を去っていった。
傍にひかえたチュ尚宮が、大君が秀でていること、輔養庁で師傅と輔養官をつければきっとゆくゆくは…と申し出るが、王妃はそれを遮った。
できることならすぐにでもそうしたい。けれど世子であるヒョンが健在である限り、世継ぎを育てる輔養官を付けることはできないのだ────。
漫画「狂眼」38話 あらすじ・ネタバレ
《書筵場での世子の発言により、大北派が揺れ動いております。世子は分朝を率いて手柄を立てたこともあり、大義名分のない廃位は困難かと存じます────》
王妃は報告の手紙をぐしゃっと握りしめた。傍らでは保母尚宮に抱かれた大君がすやすやと眠っていた。
寝顔を優しい表情を浮かべて王妃は思う。風采もさることながら、品格や知性が並外れている。まさに主君にふさわしい・・・・ヒョンさえいなければ。
ある日、王妃たちは大君に新しい衣装を着せて庭で遊ばせていた。大君がとても気に入ったというその新しい衣装は紫的龍袍、いわば王世子がまとう礼服だった。
そのとき、走っていた大君が偶然その場に現れたヒョンにぶつかってしまった。ヒョンももちろんその衣装と意味に即座に気づいた。思わず息をのむ王妃たち。
けれどヒョンは何も言及せずに大君をひょいと抱き上げ、衣装のすばらしさを褒めた。また、以前王妃がウヌに黒い飴を贈ったことをも話題にした。
「私が選んだ女官は気に入っていただけましたか?」王妃がヒョンに言う。けれどヒョンはにっこり笑って「もうそのようなことをなさる必要はないはずですが」と切り返したのだった。
・・・・報告の手紙をろうそくの火で焼きつつ、その日のことを苦々しく思い出す王妃。王妃のことを認めないあの目、どのような挑発にも動じないあの態度、そして王妃を蔑むようなあの目が憎かった。
世子・・・・お前の全てが燃え尽きることを心から願っている。王妃は燃えつきていく手紙を見ながら、そんなことを思っていたのだった────。
漫画「狂眼」39話 あらすじ・ネタバレ
保母尚宮が大君を抱きながら王妃の自室から戻ろうと歩いていると、王妃の部屋に向かうジョンオクに出会った。聞けば、王妃から何度も戻ってくるように声をかけられ、今日の夕方から中宮殿の至密に戻ってきたという。
去っていくジョンオクの背を見送りながら、保母尚宮は不安を覚えた。世子の寵愛を受けた女官をいびって追い出されたはずのジョンオクを、王妃はなぜ呼び戻したのだろうかと…。
霊媒師に大君の命式を見せた王妃は、霊媒師が「聖君になられる資質をお持ちです」との返答に非常に満足していた。殿下の血を継ぎ正妃の腹から生まれた大君なのだから当然、と言いながらも、まんざらでもない表情を浮かべていた。
しかしまだ世子が健在であり、顔色を窺ってなげの言葉を述べているのではなかろうなと、霊媒師に釘をさすことを忘れない。
とはいえ霊媒師のほうも、王妃の言葉には全く動じなかった。むしろ神のお告げになげの言葉などないと言い渡す。
次に世子であるヒョンについて占ってもらうことになった。ヒョンの似顔絵に指をかざし、読み取ろうとする霊媒師。と、その顔がみるみるとこわばっていった。そして言うのだった。
聖君になるのか晴君になるのかわからない、肖像画に手をかざしただけで指先が焼け付く、これは紛れもなく竜の目です。世子は”千年を抱く竜”。大君が何人いようとも、ことごとく食らって王になる運命だ、と────。
漫画「狂眼」40話 あらすじ・ネタバレ
ウヌは夜道を急いでいた。手元のメモには仕事の内容が並んでおり、最近はとみに忙しい。少し休んで帰ろうと、建物のそばに腰かけて夜空を見上げて息をついた。
空には美しい満月、見上げるなんていつぶりだろうか…でも退膳間よりは楽な仕事なので、ウヌはすぐに覚えられた。
ふと腰に下げた小袋の存在を思い出した。中にはヒョンがくれた油菓がたくさんはいっている。
ウヌは大事そうにひとつを取り出すと、嬉しそうにほおばった。疲れたときに食べるこの菓子は、疲れを吹き飛ばしてくれる気がするのだ。
と、傍で「ゴホン!」と咳払いの音がした。びっくりするウヌ。立っていたのはまさかのヒョンだった。「そんなに油菓がうれしいか」とヒョンは声をかけてきた。顔を赤らめて慌てて菓子を後ろに隠す。その様子を見ていたヒョンは、また用意させようとからかいながら笑う。
真っ赤な顔をしながらウヌは、ヒョンがなぜこんな時間にココにいるのかを問う。気分転換に外の空気を吸いに来たと答えるヒョンに、ウヌはまだなにか悩みを抱えているのだろうかと心配になる。
ヒョンは悩みは常につきないけれど、と前置きしたあとで「しかしいい加減、水に流すことも覚えねば」と夜空を仰ぎ見た。それはウヌが先日ヒョンに伝えた言葉だった────。
漫画「狂眼」41話 あらすじ・ネタバレ
あの霊媒師の予言の通り、殿下が寝殿の敷居をまたぐ手前で倒れたことを聞き、王妃はその場で気を失ってしまった。
やっと目を覚ますと、世話係が止めるのも聞かずに大殿に向かう。ところがせっかく到着したにもかかわらず、中に入れてはもらえない。
王妃が殿下に会うことを誰が止めるというのだと聞くと、主御医であるヤンピョン君大監の指示であり、殿下からもそうするように言われたと門番が言う。
殿下がそうおっしゃったのか…ショックを受ける王妃に、世子も入ることなく帰ったことを伝える門番。世子はいまどこにと問うと、ヒョンは殿下の病を心配して、衣服を脱いで火を焚いてない熙政堂の一室にこもっているらしい。
それを聞くと王妃は険しい顔で踵を返し、いますぐ霊媒師を呼べと尚宮に命令した。察しのいい尚宮は、もう使いをやったとうやうやしく答える。
王妃はどうしていいかわからず震えていた。私が、この私が、神のお告げを伝える者に、手を上げ無礼を働いてしまった・・・・。
漫画「狂眼」42話 あらすじ・ネタバレ
「殿下は…春を迎えることはできないでしょう」霊媒師は冷酷に予言する。
王妃は真っ青になり「ならばどうすればよいのだ!何か手だてがあるのではないのか!」とすがった。
けれど霊媒師は「空の神、大地の神、海の神を味方につけたとて、怒りに燃える千年の竜を止めることなどできやしないでしょう」と突き放した。
王妃はうろたえながら、自らの髪を飾る豪華で煌びやかなかんざしを抜き取ると、霊媒師に差し出しながら訴えた。
「なんでもする、私の血を望むのならばささげよう、首を望むのならば差し出そう、大君は私の全てなのだ…!大君の命さえ助かるのであれば、私はなんだってする」
両掌で顔を覆って泣く王妃に、霊媒師は少しだけ思案すると「私めの命を懸けましょう」と王妃に背を向けたまま言った。
慌てて顔を上げる王妃に、しかし霊媒師は「他の者の命もかけなければなりません」と続けたのだった────。
漫画「狂眼」43話 あらすじ・ネタバレ
ヒョンは礼曹参判チョ・イルムンを呼び寄せて、政の話をしていた。チョの次男であるインホは、かの殿試で活躍を見せた男だ。武芸に秀でているにもかかわらず文科の及第者でもあると知って、ヒョンは驚いたものだった。
それを考えると今のインホの任されている官位は、決して満足のいくものではないはずだ。父親であるチョに対しそのことに触れ、インホの今について不満を持っていないのか会話の中でかるく探ってみる。
チョはさすがに立派であり、たとえ息子の官位が自分にとって満足なものではなかったとしても、きちんと飲み込んでいる様子だった。
ヒョンも穏やかに会話を終え、チョの退室を許可した。するとチョは少しだけ沈黙した後、とつとつと語りだした。
「インホが15になった年に、周易を教え込んだことがありました。あの頃も今も、親の意に背いたことは一度もございません。親を裏切らないこと、そして…天を裏切らないことこそが、すなわち忠と孝であることを常に実践しております」
そう言ってチョはしっかりとヒョンの目を見た。それはすなわち、中立的なチョが”ヒョン側につく”と遠回しに表明したことになる。
ヒョンは感慨深く思いながら「ヒョンの武芸と学徳の高さは参判大監あってのものです。子は親を見て育つものですから」と微笑みながら返したのだった────。
漫画「狂眼」44話 あらすじ・ネタバレ
「昔はあれほど可愛かったのに、すっかり可愛げがなくなったな」
突然ヒョンにそう言われて、少しの間だけキョトンとしてしまったウヌ。けれどその言葉の意味を改めて飲み込んで、一気に赤面してしまった。
────本当に…あの鼻水まみれで泣いたときのことを、覚えていらっしゃったの!?
真っ赤な顔を手のひらで隠すウヌを見て、ヒョンは「ははは、顔が赤くなったぞ」と楽しそうにほほ笑んだ。ウヌはそんなヒョンに思わず「まさか…そんなことまで覚えていらっしゃるなんて…」と恥ずかしそうな表情を浮かべながら訴えてしまう。
ヒョンは「覚えておらぬと思ったのか」と笑うと、あの日あの時読んだ詩を「まだこの詩が好きなのか」とウヌに問うた。はい、美しい詩です、とウヌは頬を赤らめながらうつむいて答えた。
ヒョンがその懐かしい思い出のこもった詩を筆でしたためている間、ウヌは少しだけ胸の痛みを感じながら静かにヒョンを見ていた。
流れるべきものと、流すべきもの。この詩はまるで、ヒョンと自分を指しているようで…だからどうしてもこの詩を「好き」とは言えなかったのだった……。
漫画「狂眼」45話 あらすじ・ネタバレ
ウヌに少し強引に口づけたヒョンは、その熱いまなざしとは裏腹に「そんな姑息な手で私の心を掴めると思っているのか」とあおるようなことを言う。
けれどウヌはまっすぐヒョンの瞳を見つめ「邸下の心は切実に求めておりますが、たとえそれがかなわなくてももう構いません」と答えた。
「それほど切実ではないということか」と強い瞳で問い返すヒョン。その問いに、ウヌはぎゅっと手を握り締めると「違います」と答えた。
「切実なゆえ不安です。切実な思いが私の身体や頭を満たし、邸下がすべてを与えてくださらないことを恨んでしまいそうで怖いのです」
そういうウヌに、ヒョンは「…なにもしないではないか」と思わず口にした。「そなたは何もしていない、縋り付くことも恨むことも求めることも、何一つしたことがないではないか」
ウヌの両肩を掴んでそう言うヒョンに、ウヌは手をそっと添えると深い思いを口にしたのだった────。
漫画「狂眼」46話 あらすじ・ネタバレ
ウヌを組み敷きながら、ヒョンは”ウヌが目立つ女官でなくてよかった”という。
もしウヌが尚宮だったなら、ヒョンは”お上の女”に手を出すことになっていたのだと。
ウヌは「冗談がお上手ですね」と笑うが、ヒョンは「本当のことだ」と真面目な顔をして返した。そして「なんとしてもそなたを手に入れようとしたろうからな」と続けると、ウヌの上に覆いかぶさった。
ウヌはヒョンの下で胸が高鳴ってしかたがなかった。自分がみだらだからなのか、ヒョンの身体が濃艶だからなのか、理由は分からないけれど…顔を真っ赤にしながら、思わずヒョンの真剣なまなざしから顔をそむけてしまう。
ヒョンはそんなウヌを見て「まだまぐわいに慣れぬのか」と勘違いをした。ウヌはあわてて「そ、そういうわけではなく…邸下のお身体を見ていると、胸が高鳴ってしまって…」と白状した。
それを聞いたヒョンは思わずニコッと笑みをこぼすと、
「ならば本当かどうか、確かめてやろう」とウヌに手を伸ばすのだった────。
漫画「狂眼」47話 あらすじ・ネタバレ
激しすぎますというウヌに、今度はヒョンは「それではそなたが跨ってみてはどうだ」と言いだした。
ぼーっとしていたウヌは一度「はい。。。」と答えた後、内容を咀嚼して「はい⁉」と大声を出してしまった。
「邸下にまたがるなど鈍でもないことでございます!」と大慌てのウヌ。なぜならそれは、《王の上に乗ることを禁ずる》という、八禁詔のうちの七つ目の禁忌なのだ。
しかしヒョンは笑いながら「すでにどれも破っているではないか」と返した。そして「心配するな」とウヌに優しく手を伸ばすと、「そなただからこの身体に跨ることを許すのだ」とささやいた。
観念したウヌは顔を赤らめながら「で…では…私はどうすればいいのでしょうか」とそっと乱れたおくれ毛を耳にかけて、目をそらしながら問うのだった────。
漫画「狂眼」48話(1部完) あらすじ・ネタバレ
「横城は虎が出没する地域でございます」領議政である王妃の父親が言葉の裏に陰謀を匂わせる。世子を討つために手段を選ばないと暗に示しているのだ。
傍で聞いていた王妃の母親が「そんなことをして、万が一失敗すれば…」と顔に焦りの色を浮かべた。母親は、世子の命を狙うまではしたくないのだ。
しかし「母上!ジョクムの話をお聞きになりましたよね?大君の運命をもうお忘れですか?」息子のためなら王妃はもう、後には引けぬのだった。
結局その場で結論はもちろん出ず、両親を部屋から下がらせて、王妃は苦虫を嚙み潰したような表情で(どうやら近いうちに、もう一度ジョクムを呼びつけるしかないようだ!)と考えていた。
領議政は別の日に、殿下の自室に呼ばれた。殿下の体調は見た目にも芳しくなく、領議政だけを部屋に残してほかの者たちを部屋から下がらせた。おどろく領議政。
すると、殿下は咳ばらいをしながら「世はもう長くないようだ、そこでだ。世は譲位を考えておる」と衝撃の告白を口にしたのだった────。
漫画「狂眼」49話(2部) あらすじ・ネタバレ
「いい加減、世子嬪を迎えたまえ」病床の父親に言われて、ヒョンは膝の上でぐっと拳に力を込めた。そして少しだけ間をおいて「しかし今は殿下のお身体が第一でございます」と話を逸らす。
同じく、今譲位されては困る王妃も「そのとおりでございます。まずは養生に努められてから。。。。」と後ろからヒョンを援護する。
けれど殿下は「それでは遅い」と強く反論した。そして、王族の婚礼を管理する臨時宮庁である”嘉礼都監”を設置すると通達し、王妃にも世子嬪を迎えることを最優先にするよう言いつけた。顔をこわばらせる王妃。
ヒョンは首を垂れると「父上、そうおっしゃってくださること、恐悦至極に存じます」と答えた。けれど、そうなればウヌとはもう…。
殿下は一人嬉しそうにこれからのことを話し続けるが、ヒョンも王妃も心中は非常にくるしいものであった。
殿下の自室を辞し、外に出た王妃は心労で思わずふらつく。傍に控えるジョンオクに「これから書く手紙を領議政(父親)に届ける」ことと「母上に直ちにジョクムに会うように伝える」ことの2つを命じたのだった────。
漫画「狂眼」50話 あらすじ・ネタバレ
ウヌが王妃とヒョンのいる部屋を訪れた、その数時間前のこと。ウヌはヒョンと誠正閣の書庫にいた。そこにはたくさんの書物があり、ヒョンが手に取りたい書物を集めておいたのだという。
ウヌは嬉しそうに書物に手を伸ばし、その様子を見ていたヒョンが「いつでも好きな時に読みに来て良い」と許可を出した。
ウヌは書物を抱きしめながら「朝鮮の詩集はすべて読み終え、退屈していたのでとっても嬉しいです」とほほを染めた。
そこで、ヒョンはウヌにお使いをひとつ頼んだ後、それが終われば部屋に来ればいい、届いたばかりの明の詩集をみせてやろうと言ったのだった。
しかしウヌが部屋に到着したのは、よりによって世子の世子嬪について話している最中だった。よりによってこんな時に…ヒョンが苦々しく思う。
ウヌは二人がいるとは知らずに部屋を訪れた非礼を詫び、部屋を辞そうとした。それを見ていた王妃は、二人の様子に違和感を感じて不思議に思ったのだった────。
漫画「狂眼」51話 あらすじ・ネタバレ
突然床に倒れ込み、苦しそうに身体を震わせながら、自らの胸を掴んで荒い息をするヒョン。傍では突然のヒョンの異変に、王妃が真っ青な顔をして立ちすくんでいる。
ヒョンは汗だくになりながら、発作を起こしたわけでもないのに、まるで誰かに胸をえぐられているようだと苦しんでいた。
医師の手配や介抱するための毛布をとりに、周りの者たちがバタバタと走り回っていたその時、ヒョンはかすれた視界の向こうから、先ほど退室したばかりのウヌがこちらを見ているのに気づいた。
ウヌは部屋に再び入ってくると、ヒョンのそばにしゃがみ込み「私がお見えになりますか?」とヒョンに穏やかに問うた。
ヒョンはウヌの差し出された手に、自らの手を伸ばした。ウヌはヒョンの手を取ると「邸下、大丈夫です。すぐに収まりますから。さあ寄りかかってください」と優しくヒョンを自分のそばに誘導した。
その二人の様子をじっと見ていた王妃は、ヒョンがウヌを頼っていること、ウヌが手を握ってからヒョンの様子がみるみる落ち着いたことに驚きを隠せずにいたのだった────。
漫画「狂眼」52話 あらすじ・ネタバレ
「では私はこれで…」ウヌはヒョンの薬をその場に置くと、失礼しますと退出しようとした。そんなかたくななウヌの腕をグイと引くと、ヒョンは「そなたがそれほどまでに刺々しくふるまうのは、世子嬪のせいか」と強く問い詰めた。
ウヌは一瞬顔をこわばらせたが、すっと下を向き「いえ、めっそうもないことでございます。なぜ私ごときが…」と引いてしまう。
売り言葉に買い言葉状態のヒョンは、ならばと先ほど飲まずにいた薬を、ウヌに見せつけるようにグビグビと一気に飲み干した。
その様子を見ていたウヌは、ふぅとため息をつくと「薬をお飲みになったので、私は失礼します」と相変わらず心を見せない。
しびれを切らしたヒョンはウヌに腕を伸ばして抱き寄せると、周りの者にも聞こえるような声で「今日はそなたを抱かねばならぬな」と言い出した。お付きの者たちが慌てて床の準備をする。ウヌは真っ赤になりながら、その流れにのまれていくのだった────。
漫画「狂眼」53話 あらすじ・ネタバレ
ヒョンの焦った表情を見たウヌは驚いた。すっと瞳を伏せると小さな声で「…満足では…ありません」と言い、ヒョンの頬に手のひらを当てる。
「満たせど満たせど、満足は…できません。私だけが見ることのできる、素直で正直な瞳、邸下の花、邸下の姿。それだけで十分だと何度も自分に言い聞かせています」ウヌはそっと告白した。
ヒョンは、うっすら涙を浮かべたウヌのあごをクイと引き上げ、ウヌが自分の方を向くようにした。そして真剣なまなざしで「今度は私の唇と目をよく見ろ」と言った。
再び抱き合う二人、ヒョンはウヌよりも不安そうに見え、邸下なら大丈夫だろうと考えていたのは間違いだったとウヌは思った。
前よりも強くウヌを求めるヒョンの様子は、ウヌよりも不安だと、ウヌよりも苦しいと伝えんとしているように感じられた。
深く交わりながら、ヒョンも思った。ウヌが寂しさを表に出せないことを分かっていながら、私のことだけを考えるようせがみたくなる。どんな状況になろうとも、自分はウヌを見捨てない、ウヌがいなければ自分は生きている意味がないのだ、と────。
漫画「狂眼」54話 あらすじ・ネタバレ
王妃の膝に抱かれ眠る大君の、髪の毛や爪が切られていく。王妃の後ろに立つ衝立の向こうから、霊媒師が手に小刀をもってそっと現れた。
不安そうな面持ちで王妃が霊媒師を見上げる。「では王妃様、始めさせていただきます」霊媒師は表情の見えない顔で、王妃と大君を見下ろし言った。
こくん、と頷く王妃。すると霊媒師は躊躇せず眠る大君の手を取ると、小刀で大君の手のひらをスパッと切った。
痛みに大君が泣き出した。霊媒師は小刀を止めない。床に広げた布に、大君の手のひらから流れ出た血がボタボタとしみこんでいく。
王妃は泣きわめく大君の目をそっと自分の手のひらで覆い「かんざしで切ってしまったのね、大丈夫、すぐによくなるから、少しの辛抱よ…」と辛そうに声をかけた。しかし最後は「もうよしなさい!」と我慢できずに声をあらげてしまった。
霊媒師は大君の血がしみこんだ布を手に取ると「これで竜の気は得たので、あとは実行に移すのみです」というのだった────。
漫画「狂眼」55話 あらすじ・ネタバレ
ウヌが誠正閣に到着すると、なにやら扉の向こうが騒がしい。廊下に立ちそわそわと様子を伺っている大監に、邸下のところにだれか訪ねてきているのかと聞くと、王妃の父親・領議政が謁見していて、中で激しくヒョンを追及しているらしい。
昨日の便殿会議でヒョンと殿下の間にひと悶着あったことはウヌも知っていて、もし狂症が再発したらどうしよう…とウヌは不安になった。
その時、部屋の中からガシャーンと何かが壊れる音がした。中から激しい言い争いの声も聞こえる。大監がウヌの肩を押しながら、扉を開けるようウヌに頼んだ。
扉を開けたウヌの前には、明らかに様子のおかしいヒョンが刀を領議政に向けていた。お付きの者たちが悲鳴を上げる。
「他の者は下がれ」ヒョンが領議政に刀を突き付けながら、家臣たちに命令した。どうすればいいのか悩む家臣たち、大監はウヌに小声で「申し訳ないが、こうなったらもう君に託すしかない。邸下のことを頼んだよ」とささやいた。
こくりとうなづくウヌ。家臣たちが部屋を辞し、部屋の中には刀の柄を握り締めるヒョンと、床にへたりこむ領議政、そして扉のそばで息をのむウヌだけが残されたのだった────。
漫画「狂眼」56話 あらすじ・ネタバレ
訓練を終えたチョ・インホは、ウヌが少し軽い咳をしながら歩いているのを見つけた。
しかしウヌになんと声をかけるべきか、躊躇してしまう。あの日、ヒョンの目の前でウヌのことを話題にしてしまって、叱責されたことを思い出すのだ。
心の痛みを覚え、見なかったことにしようと目を伏せて歩き出そうとする。と、ウヌが突然かるくよろめき門戸に手を付いた。
あわててウヌの近くに駆け寄り、大丈夫かと問いかけた。ウヌは驚いた顔で見返したが、インホはウヌが持っている非常に重たい書物に気づき、持ちましょうと取り上げる。
遠慮するウヌだったが、気分がすぐれないため結局は頼ってしまった。
今日のウヌはなんだか非常に体調が悪そうに見える。こんな体調でヒョンを待つつもりか?とおどろいたインホは────。
漫画「狂眼」57話 あらすじ・ネタバレ
ヒョンの元にウヌが書物をもって到着した。それはヒョンが探していたもので、報春亭で”書物を担当する”至密尚宮として働くウヌにとっては仕事のひとつであったが、ヒョンの様子を伺うちょうどよい機会でもあった。
ちらりとヒョンを盗み見ると、表情が硬く見える。邸下としての仕事で、なにか不快なことがあったのかもしれない。ヒョンの気分が晴れればいいのだけれど…と悩ましく思っていたウヌだったが、
ここへくるまでにインホに会ったことを口にすると、ヒョンが書物をぱたんと閉じて「なぜあの男がそなたと口を利くのだ」と問うてきた。
インホからの伝言を伝えるウヌ、ところが身体の不調がどんどん増してきたようだ。吐き気もするし息が上がる。
頬を少し赤くしながらヒョンと会話をしていると、ヒョンがウヌの額に手のひらをあてて「具合がよくないのか」と単刀直入に聞いてきた。
一度はごまかそうとしたウヌだったが、ヒョンの「私は嘘が嫌いだ」との言葉に、不調を告白した。
吐き気が少しするというウヌの額から自分のてのひらをはなすと、次はウヌの頬に手を添えて「ここ数日、顔がむくんでいると思ったら、腹を壊したのか」とヒョンは言った。
そしてまるで熱に浮かされているような表情をしているウヌの唇に指をあてると、そのままウヌに口づけたのだった────。
漫画「狂眼」58話 あらすじ・ネタバレ
「ねぇウヌ、見て見て」同室のミヒャンが運んできたのは、たらいに満たされた液体だった。
ミヒャンがいうには”美顔水”といって、柚子の皮を煮込んだ水に清酒を混ぜたものらしい。これで顔を洗うと肌がうるおうとのことで、ミヒャンがウヌのために作ったという。
「じゃあ早速はじめるわよ」とミヒャンは腕まくりをすると、ウヌを横に寝かせて、ウヌの顔のケアを始めた。
ミヒャンはウヌに、もっとしっかり手入れをして、ヒョンに末永く愛でてもらわなければという。けれどウヌは、自分が書庫の女官として世子に仕えることができるのも、あとわずかだと静かに涙を流し始めた。
ウヌは周りの者たちにどんな噂をたてられているのかを知っていた。けれど、自分があと何日ヒョンのそばにいられるのかは数えないことにした。
どうすればヒョンを引き留められるかなんて考えない…ヒョンの意のままに…水が流れるように…身をゆだねるだけ。。。
それはかつての幼き日に、ヒョンと出会ったときに語り合った、あの詩を思い出させるものだった────。
漫画「狂眼」59話 あらすじ・ネタバレ
勢いに任せて自分から申し出た夜伽の相手ではあったが、久しぶりでどうしたらいいのか分からず、ウヌは緊張していた。
上着を脱ぎそっと目を上げると、ヒョンがこちらをじっと見ていて、なんだかとても恥ずかしい。
頬を赤く染めていると、ヒョンが突然笑いだした。「実に面白い。そなたが自ら御伽をするなどと申し出るとは。後宮にはいることすら拒んだ、意固地な女官なのに」
笑顔で言うヒョンに「からかわないでください」とウヌは顔を真っ赤にした。
どうしたらいいのかとそわそわ視線をそらすウヌを、ヒョンは近くに呼び寄せた。ちょこんと遠慮がちに座るウヌをぐいと胸元に抱き寄せると、「まだ体調が万全ではないのに、身体が冷えたら大変だ。こうして抱きしめれば温まるだろう」と優しいことを言う。
ウヌはヒョンに口づけられながら、本当に・・・・温かいわ・・・・とヒョンの体温を改めて感じるのだった────。
漫画「狂眼」60話 あらすじ・ネタバレ
邸下の上にのってはいけない「八禁詔」 を気にするウヌだったが、あまりの快楽にそれも忘れてヒョンにしがみついてしまう。はげしくウヌを求めるヒョンの姿に、ウヌはそっと手を伸ばした。
本当はいつも願っているのだ、毎日こんな夜が続くようにと。。。
何度も抱き合ったあと、汗を拭く手拭いをもってこようとするウヌを改めて胸に抱きしめると、ヒョンは「もうしばらくこうしていよう」と微笑んだ。
ウヌは幸せを感じながら、ヒョンの頭痛はもう辛くないか、息苦しくないかと問うた。大丈夫だとウヌを安心させるヒョン。ウヌはヒョンに抱きしめられながら(このまま時が止まればいいのに…)とそっと願うのだった。
王妃の母親が霊媒師のところに到着した。王妃から預かった褒美の宝飾品を手渡して、精一杯の誠をつくすよう言い伝える。
もちろんでございますと恭しく首を垂れる霊媒師の横には、頭を切り落とされた鳥が無残にもおかれていて、王妃の母親は(大君様のためとはいえ、なんて気味の悪い呪術だ…)と警戒するのだった────。
漫画「狂眼」61話 あらすじ・ネタバレ
数十年前、霊媒師はもともと孤児であった。飢えているところに食糧を恵んでくれた屋敷の主に「明日、母が亡くなる」と縁起でもない予言をして殴られ追い出されていた。
ちょうどそこへ通りかかった一人の女性が、激昂する主人から訳を聞き、間に入ってその場をいさめた。
殴られていた少女に名前を聞いたが孤児に名前などなく、その女性はこれから自分がつけてあげるという。
その女性こそ、朝鮮一の霊媒師「ジョクラ」だった。
ジョクラは少女に「ムイ」という名をさずけ、”あなたの見えているものを、人様の前で軽く口に出さないように”と忠告した。おどろくムイ。ジョクラは「どうやらお前は、私と同じ道を歩む運命のようね」と優しく手を差し伸べて、ムイの育ての親となったのだ。
その騒動の翌日、屋敷の主の母親はムイの予知のとおりに死んでいて、ジョクラは騒動のわびとして米を一俵届けた。
ムイはそれが気に食わなかった。あの屋敷の人々は、あの米がなくても腹を空かせることはないだろうに、なぜわざわざ届けるのか。
ジョクラは亡くなった屋敷の母親には徳があったから、きっとその葬儀で貧しい者たちに食事として分け与えてくれるはずだと答えた。それでも納得がいかないムイに
「欲を捨てて人に施せば、すべてとまではいかなくとも、いつか得となりわが身に返ってくる」と優しい表情で諭した。
けれどその言葉がムイに最後まで届くことはなかった────。
漫画「狂眼」62話 あらすじ・ネタバレ
ヒョンが持ってきた書物のなかからはらりと落ちたのは1つの封筒。女性からもらったというヒョンに、もしやと少し声が曇るウヌ。
けれどヒョンは「恋文ではない」と笑った。ウヌは少し恥ずかしくなったが、なぜ開けてもいない封筒が恋文ではないと分かったのかと不思議に思った。
するとヒョンは、この封筒は過去にとある儀礼を執り行った霊媒師からもらったものだと説明を始めた。
その霊媒師は仙女のような、百年生きた神仙のような、不思議で美しい霊媒師だったという。
その霊媒師の名は「ジョクラ」。彼女はまだ幼かったヒョンにこの封筒を手渡しながら、突然妙なことを言ったらしい。
「28から29をお迎えになる冬、私が邸下をお守りいたします」と。
ジョクラはこの白い封筒について「こちらを身に着けてくださいませ。はるかに楽になられるでしょう」と言ったのだ。
ヒョンは当時のことを思い出しながら「あの霊媒師は何を守ると言ったのだろうか」と突然不思議に思ったのだった────。
漫画「狂眼」63話 あらすじ・ネタバレ
紙屋に突然現れたヒョンは、おどろくウヌに人差し指を口に当てて”黙っているように”と指示をした。
紙屋の主人は、ヒョンがまさにいま噂している”邸下”であるとはつゆ知らず、町に広がる「邸下の体調が芳しくないらしい」という風評について話し続けた。
ところがヒョンは、民が自分のことを心配していることを真正面から受け入れられない。むしろ「らしくもない邸下」として厭われていると思っているようだ。
紙屋の主人は、相手が当人だと思いもしないまま「道行く人に聞いてみればいい。先の戦での邸下がどんなご活躍をされたのかと」と口調荒く言い返す。ヒョンは最後は顔を曇らせて「昔のことだ」と話を終わらせた。
横でハラハラとことの成り行きを見守っていたウヌは、主人の「私にとっては十人の王子よりも邸下おひとりのほうが大事です!」という言葉がいつか邸下の心に届き、ますます邸下が健やかになられるよう祈らずにはいられなかった。
紙屋をでて、ヒョンとウヌは町を散策しはじめた。ウヌはヒョンが自分に会うために屋敷を出てきたことに嬉しく思った。とはいえ、ヒョンの真後ろには護衛としてヒュルがピタリとついては来ていたが。
そのとき、道を行く子供がヒョンに勢いよくぶつかってしまって────。
漫画「狂眼」64話 あらすじ・ネタバレ
そこに飾られていたのは息をのむほどに美しい唐衣だった。ウヌは思わずそっと手を触れ「これは…まるで世子嬪が切るような唐衣…」と思わず口にしてしまった。
世子嬪…。以前ヒョンが口にした言葉が頭によみがえる。自分の長子となるものは、正宮の腹から生まれてこなければならぬと。そして、その息子を世子にするつもりだということを。
今も宮廷では、世子嬪を選ぶため、審査に通った令嬢たちの精査が行われているのだ。それが終われば、自分は。。。ウヌの瞳から涙がこぼれ堕ちる。それでも受け入れなければならない。気持ちを切り替え、ウヌは用意された美しい唐衣をありがたく着て、幸せな気持ちでヒョンと夫婦のように歩いてみたいと思った。
着替えたウヌはそれは美しく、ヒョンも思わず一瞬見とれた。この衣服を繕った店主の「ご注文された方のお気に召せばよいのですが」という言葉に、ヒョンは「きっと気に入るさ」と答えた。
二人は町を再び散策し始めた。ヒョンは横を歩くウヌをじっと見つめると「綺麗だ」とほめた。けれどウヌは少し下の方を見ながら「私にはあまりにも立派すぎます」と謙遜する。
そんなウヌに「次はもっと立派なものを着せてやろう」と言って手を握るヒョン。お互い軽口をたたきあいながら、けれど子供の話題になると、どうしてもウヌはぎこちなくなってしまうのだった────。
漫画「狂眼」65話 あらすじ・ネタバレ
ヒョンから渡された小物入れの中には、豪華な銀の美しいかんざしが入ってあった。ウヌはミヒャンに、このかんざしを自分の髪にさしてくれないかと頼んだ。
ミヒャンは嬉しそうに受け取ると、結い上げたウヌの髪の毛に刺した。自分には派手すぎないかと自信のない様子のウヌに、ミヒャンは笑顔で「何言ってるのよ、まるで世子嬪みたいだわ」と言った。
慌ててミヒャンをたしなめると「今日くらいいいじゃない」とふふふと笑った。どういう意味かわからないウヌ。
そこへ「あながち間違いではないな」という声とともにヒョンが部屋に入ってきた。居住まいをただすウヌとミヒャン。着飾って座っているウヌはなんだか照れくさくてヒョンの顔がなかなか見られない。
けれどヒョンはそんなウヌに「美しい」と破顔した。
ふたりきりになると、ヒョンはうつむき気味で顔を赤らめているウヌに「贈り物は気に入ったか」とかんざしのことを問うた。もちろんでございますと緊張気味で答えるウヌ。
「頭が重くて顔が上げづらいのか」とヒョンが聞き、少し…と言うウヌに、ヒョンは「頑張って慣れてもらうしかない」と笑う。そして「そなたがずっと叶えたかった夢なのだから」と続けた。
おもわず顔を上げるウヌ。ヒョンは、かつてウヌが語った「至密尚宮の結い上げた髪に刺すかんざし」に憧れているということを、覚えていてくれたのだった────。
漫画「狂眼」66話 あらすじ・ネタバレ
「呼んでみてくれるか」ヒョンがウヌに乞う。邸下であるヒョンの諱(いみな)を口にしていいものかと、ウヌはとまどってしまう。
けれどヒョンは「そなたが呼ばなければ意味がない、読んでみろ」と優しく言った。
初めてウヌは「炫(ヒョン)」と口にした。もう一度とヒョンに言われて「炫」と改めて声にする。
やさしい口づけを受けながら、ウヌは自分がいままでなんとおろかだったのかと思い知っていた。いままで自分のことしか考えず、ヒョンの気持ちを疑い気をもんできたけれど。
ようやく気付いたのだ。ヒョンも本気だということに。
次の日の朝も、ヒョンよりウヌは早くに目を覚まし、身支度を整えだしていた。そんなウヌを寝起きのヒョンが見つめていたが、突然ウヌが吐き気を催してうめき声をあげた。
慌てて起き上がり、様子を尋ねるヒョン。ウヌは心配ないこと、吐き気は朝だけであることをヒョンに説明した。けれどその後ウヌは少しだけ顔を伏せて「もし・・・・」と下腹に軽く手を当てて言いかけて・・・・。
漫画「狂眼」67話 あらすじ・ネタバレ
ヒョンは講武に向かう前に大妃のもとに出向いて、ウヌのことを頼んだ。結果、ヒョンが不在の間はウヌを大妃殿に呼ぶことになった。
「世子、くれぐれも気を付けていってくるのだ」と大妃は目を潤ませながらヒョンに言う。ヒョンは大妃の言葉を聞きながら(自分がいなくなった場合にそなえなければならない)と考えていた。
やがてヒョンは部下たちを引き連れて講武へと出立した。ヒョンの姿を遠くから見送りながら、ウヌはひとり涙を流した。
結局ヒョンには言い出せなかった・・・・けれど言わない方がいいのかもしれない・・・・。
ウヌは涙をはらはらとこぼしながら、自らの腹に手のひらを当てて(どうしてよりにもよって私のもとに・・・・。世子嬪様のお腹ではなく、私のもとにいらしたのですか・・・・)と心の中で独り言ちた。
どうか、だめな母親をお許しください・・・・。
一方のヒョンは監視されながらの長旅に疲労していた。そんななかでも思い浮かぶのは、ウヌとの逢瀬のことで・・・・。
漫画「狂眼」68話 あらすじ・ネタバレ
ミヒャンとともに床に入りながら、ウヌはガタガタと震えていた。ここ何日か、外から妙な音が聞こえてくるのだ。遠いところからではあるのだが、それは気味の悪い音だった。
その時ミヒャンもムクリと起き上がり「ウヌ寝てる?」とこちらの様子を伺ってきた。ミヒャンもまた、眠れないのだ。
奇妙な音をミヒャンも聞いたのだろうか?…と思って尋ねると、ミヒャンは「実はそのことで、キム女官から変な話を聞いてね。それで私も寝付けなくて…」と同じくブルブルと震えている。
ミヒャンが聞いたのはなんとも残酷な話だった。キム女官が夜中に北門近くの松林で、首が切られた犬の死体を見たというのだ。けれど夜中にそんな場所にいた理由を聞かれるのが怖くて、監察部には報告しなかった。ところが次の日の昼間に再び確認に行くと、血痕も犬の屍骸も亡くなってたらしい。
ミヒャンは幽霊の仕業なのかと怖がっていたが、ウヌは少し違和感を感じた。宮廷の中に犬の屍骸なんて…。呪術をかけるときにそういう方法を使うと聞いたことがあるけれど。。。。
まさか、世子邸下を陥れるための呪術がとりおこなわれているのでは!?
ウヌは居ても立っても居られなくなり「私そこに行ってみる」と立ち上がる、ミヒャンも心配で一緒について行くことになり────。
漫画「狂眼」感想
韓国宮廷ものが大好きで(チャングムでドハマりした民)、このお話は設定からキャラクターから衣装まで、すべてに性癖を刺激されて大変です♪TLなのだけど純愛ものとしても楽しめるというか、きゅんきゅんしてドキドキしてハラハラするというか。主人公のウヌが純粋ないい子で、最初は氷のようなイ・ヒョンがデレていくのが最高に尊くて。いま一番続きを楽しみにしている大好きな漫画です!
とっても良きです(合掌)。広告でちらりと目に入って、宮廷が舞台というのが気になってつい手を出してしまいましたが、見事にハマりました。強め(どころではない)イケメンが、どんどん一人の女性に堕ちていくのを見るのは最高に幸せです♪ウヌもとっても可愛くて一途な子で、応援したくなります。ドロドロ部分がもう!ストレスなので!どうかこれからはどんどんイチャイチャしていってほしいです!
作者 | 原作:肉花 原案:ラヘ 作画:ソラ |
出版社 / 連載雑誌 | レジンコミックス・Kidari Studio / レジコミ Red |
発行巻数 | タテヨミ版82巻(完結)+外伝(現在12巻) フルカラー版29巻 |
連載期間 | – |
外部リンク | – |
メディア化 | – |
漫画「狂眼」の全巻を電子書籍で安くまとめ買いする方法まとめ
この記事では、マンガ『狂眼』の全巻をお得に読める電子書籍サイトについて紹介しました。
今回一押しのコミックシーモアは「ポイント還元を使えばマンガが実質無料で購入できる」お得なサービス実施中で、特に女性に人気なBL・TL・ハーレクイン作品が充実した、利用して楽しい電子書籍サイトになります!
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